平成19年の夏に香川大学附属病院小児科より、入院しているこども達を元気づけるために、病棟を装飾したいので協力して欲しいとの依頼がありました。 ○装飾前の病棟の様子
 グラフィックデザイン学科1年の学生から有志を募ったところ、6人の学生より参加の申し出がありました。その一人、岩谷崇平(いわたにそうへい)君は、過去に長期間同病棟へ入院しており、当時お世話になった医師や看護師のみなさん、そして、自分と同じ境遇のこども達に役立てればと、一番に参加を申し出てくれました。 学生たちは10月より作業を開始しました。先ずはデザインの基礎となる「台紙」を作成するため、病棟の壁やドア、手すり、障害物など全てを計測し、コンピュータを用いて図面データにしました。 ○学生が壁を計測する様子
 また、学生たちは「ユニバーサルデザイン」に基づいた装飾について話し合い、以下の方針に沿って制作していくことを決めました。 ●大人からこどもまで幅広く人気のある、「動物園」と「水族館」をテーマとする ●色覚が発達中である低年齢のこどもに配慮し、イラストの形と配色はできるだけシンプルにする ●ドアに動物のイラストを取り付け、視覚的に部屋を認識しやすくする ●ナースステーション周囲は「海」をテーマとし、青を基調とした配色で心を落ちつける効果を狙う ●病室周辺は草原や森、空など自然に生きる動物達を描き、癒しの空間を演出する また、毎日こどもたちと接している医師や看護師の皆様からさまざまなご意見を頂戴し、デザインに反映させました。 ●イラストの下部に動物の名前を入れ、文字の勉強に役立てる ●イラストの中に花を多く咲かせる ●暗い、強い色を極力減らす 等 ○病院スタッフとの打合せ風景  学生たちが初めて経験する大規模な作業であり、当初は大きな不安をかかえていました。しかし、病院スタッフや施行業者の皆様の暖かいご協力を得ながら、半年に渡る試行錯誤の末、平成20年3月29日(土)に施行・完成の運びとなりました。 最初は「こども達のために」と始めたプロジェクトでした。しかし、「誰かのために何かを考え、つくる」というデザインの本質について学んだ学生たちが一番大きなものを得たように思います。 


装飾デザイン参加学生 専門学校穴吹デザインカレッジ グラフィックデザイン学科1年 岩谷 崇平(いわたに そうへい)※チームリーダー 青 栄里奈(あお えりな) 浅野 敏博(あさの としひろ) 角 元希(すみ げんき) 林 愛子(はやし あいこ) 宮武 哲朗(みやたけ てつろう) |